
化粧品のディスペンサーとは? 使用するメリットと留意点
ユーザーの心を掴む化粧品を開発するためには、内容物だけでなく化粧品容器、そして付属品までにもこだわりたいものです。付属品のなかでも特に、商品の使い勝手を左右するヘッド部品は、吟味して選ぶ必要があります。
本記事では、化粧品のヘッド部品の一つである、“ディスペンサー”について、使用するメリットや留意点を解説します。
ディスペンサーとは
ディスペンサーとは、内容物の取り出し口としてヘッドの部分に使用するパーツのことを指し、ポンプとも呼びます。ヘッドを押すたびに、内容物がディスペンサー内のタンクまで吸い上げられ、そこにたまったものが吐出(としゅつ)される、という仕組みです。このような仕組みにより、ワンプッシュごとの吐出量は一定に保たれます。
ディスペンサーの構造は非常に複雑で、ものによっては10個以上の部品で構成されています。
ディスペンサーを化粧品のヘッド部品として使用するメリット
化粧品のヘッド部品にディスペンサーを使用するメリットは、内容物をスムーズに取り出せる点です。
ディスペンサー以外の化粧品のヘッド部品として、“キャップ”が挙げられます。キャップをヘッド部品に採用した化粧品は、内容物を取り出すために、キャップを開け閉めしたり、容器を押したりと、複数の工程が必要になります。
その点ディスペンサーであれば、ワンプッシュするだけで、簡単に内容物を取り出すことが可能です。そのうえ片手で取り出せるため、お風呂場で手が濡れている場合やすでに手に化粧品がついている場合でもスムーズに、また容器を汚すことなく使用できます。
ディスペンサーを化粧品のヘッド部品として使用する際の留意点
化粧品のヘッド部品にディスペンサーを使用するうえでは、以下に挙げる2つの留意点を確認しておきたいところです。
先述の通り、ディスペンサーは複雑な構造で作られています。その分ほかのヘッド部品と比べて、製造にコストがかかることは避けられません。
また、構造上ヘッド部分に高さが出てしまうため、キャップの場合と比べてかさばる可能性があります。トラベル用の化粧品のように、持ち運ぶことを想定して化粧品を製造する際には、化粧品容器の大きさも精査して、コンパクトに仕上げることが求められます。
ディスペンサーの種類
ディスペンサーは、内容物を取り出す際の形状や特徴によって、以下で紹介する4種類に分けられます。
①ドロップ
ドロップタイプは、ディスペンサーのなかでもっとも流通しているタイプで、内容物をそのままの形状で吐出する際に使用します。用途としては、美容液や化粧水、またシャンプーなどが挙げられ、幅広い商品に用いられます。
吐出量としては、0.1ml〜3.0ml程度が一般的です。吐出量が少ないものは美容液や化粧水に、吐出量が多いものはシャンプーなどに使用されます。
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②ミスト
内容物を霧状にして取り出せるディスペンサーが、ミストタイプです。
ミストタイプは、内容物を押し出すときの圧力が強くかかるように作られています。この圧力によって、液体の内容物を霧状に変えられるわけです。また、先端のチップの形状によって吐出方法が変化します。広範囲に広がるタイプやより細かい霧状に吐出するタイプもあります。
ミストタイプのディスペンサーは、ヘアケアやボディミストなどに使用されます。霧状に内容物を噴射することで、髪や肌に内容物をまんべんなくかけられるのが使用時のメリットです。
③ジェット
ジェットタイプは、強い噴射力を有するディスペンサーです。勢いよく、一点をめがけて内容物を取り出せるのが特徴です。
ジェットタイプのディスペンサーは、こうした強みから、頭皮までしっかり成分を浸透させる必要がある育毛剤に使われます。一般的に育毛剤に使用されるノズル型のヘッド部品と形状が異なるため、外見から育毛剤とは分かりづらく、ユーザーの使用ハードルを下げられるというメリットがあります。
④泡
ディスペンサーのなかには、内容物を泡状にして取り出す泡タイプも存在します。
泡タイプのディスペンサーは、タンクのほかにメッシュを組み合わせて作られています。低粘度の内容物と空気をタンクで混ぜ、その後にメッシュで泡立てて押し出すという仕組みです。
一般的にハンドソープや洗顔料などに採用されており、ユーザー自身が泡立てることなく使用できるのが利点です。
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ディスペンサーの加飾方法
化粧品容器を加工し、商品の外見的な特徴を生み出す加飾は、ディスペンサーにも行えます。ディスペンサーに施せる加飾は、以下の通りです。
▼ディスペンサーの加飾方法
加飾の種類 |
備考 |
着色 |
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蒸着 |
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ホットスタンプ |
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魅力的な化粧品を製造するためには、上記の加飾をディスペンサーにも施し、独自性あふれる商品に仕上げることが大切です。
使用シーンごとに適した化粧品容器の容量
化粧品を製造する際は、ディスペンサーを合わせる化粧品容器の容量も、あらかじめ決めておく必要があります。
例えば、トラベル用の化粧品を作成する場合には、20ml程度の容量の容器が適していると考えられます。ディスペンサーの留意点にかさばることを挙げましたが、容器がコンパクトであれば特に気にならない場合が多いでしょう。
また、家での使用を想定して商品を開発するのであれば、洗面台やお風呂場に置いても邪魔になりにくい大きさか、というのが一つの基準になります。この点から考えると、化粧水や乳液であれば100ml~200ml、シャンプーやボディソープであれば300ml~500ml程度が目安です。
化粧品容器のサイズを決めるにあたっては、ユーザーに使用してほしいシーンを想定し、そのシーンに最適なサイズのものを選ぶのがおすすめです。
まとめ
この記事では、化粧品のディスペンサーについて以下を紹介しました。
- ディスペンサーとは
- ディスペンサーを化粧品のヘッド部品として使用するメリット
- ディスペンサーを化粧品のヘッド部品として使用する際の留意点
- ディスペンサーの種類
- ディスペンサーの加飾方法
- 使用シーンごとに適した化粧品容器の容量
ディスペンサーは、化粧品の内容物を一定量排出できるヘッド部品で、片手でも使用しやすいのが魅力です。また、内容物を霧状に噴射できるミストタイプや泡状にできる泡タイプなど複数の種類があります。
化粧品容器メーカーの石堂硝子では、こうした用途の違いに対応するのはもちろん、形状や色にもこだわっていただけるよう、ディスペンサーを豊富に取り揃えております。ディスペンサーを実際に手に取り、使用感をお試しいただくこともできますので、お気軽にお問い合わせください。
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