バイオマスプラスチックとは?化粧品容器で広がるエコ素材と選び方のポイント

バイオマスプラスチックとは?化粧品容器で広がるエコ素材と選び方のポイント

近年、化粧品業界では「環境配慮型パッケージ」への関心が高まり、環境に配慮した容器かどうかが容器選定の1つのポイントとなることがあります。その中でも、植物由来の原料を一部に使用した「バイオマスプラスチック」は、CO2排出量の削減や持続可能な資源利用を目指す動きの中で採用が進みつつあります。

この記事では、バイオマスプラスチックの基本知識から、ほかのエコ素材との違い、そして実際に選ぶ際の注意点まで詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.バイオマスプラスチックとは?
    1. 1.1.定義
    2. 1.2.原料例
    3. 1.3.特徴
  2. 2.化粧品容器に「エコ」が取り入れられる背景
    1. 2.1.消費者の環境意識の高まりと購買行動
    2. 2.2.化粧品業界に広がる「サステナブル容器」の潮流
    3. 2.3.持続可能な素材への関心が高まる中で注目される「バイオマスプラスチック」
  3. 3.エコ素材の種類と違い
    1. 3.1.バイオマスプラスチック
    2. 3.2.再生プラスチック
    3. 3.3.生分解性プラスチック(PLAなど)
    4. 3.4.化粧品容器に適した素材の見極め方
  4. 4.化粧品容器におけるバイオマスプラスチックのメリット・デメリット
  5. 5.まとめ

バイオマスプラスチックとは?

定義

バイオマスプラスチックとは、再生可能な有機資源(バイオマス)を使用して製造されるプラスチックです。

植物などの生物由来資源を利用することで、石油などの化石資源への依存を減らします。
従来の石油由来プラスチックと見た目・性能はほぼ同じになります。※製品進行時には容器テストが必要です。

原料例

主な原料には、以下のような再生可能資源が使われます。

  • サトウキビ:糖分を発酵させてエタノールを生成し、これを原料にバイオPE(ポリエチレン)などを製造。

  • トウモロコシ:でんぷんから乳酸を取り出し、PLA(ポリ乳酸)に加工。

  • セルロース:木材や植物繊維から得られる天然高分子。生分解性樹脂や添加剤として使用。

化粧品用ボトルでのバイオマスプラスチックは、サトウキビを使用することが一般的です。サトウキビを始めとするこれらの植物は光合成によってCO2を吸収するため、ライフサイクル全体で温室効果ガスを抑制することが期待できます。このような考え方を「カーボンニュートラル」と呼びます。

特徴

バイオマスプラスチックは、以下のような特徴をもちます。

  • 成型性が高い:射出成型やブロー成型など、従来の設備で基本的には成型が可能です。光沢感や強度も従来の石油系プラスチックとほぼ同等です。

  • 環境負荷の軽減:再生可能資源を利用することで、製造時のCO2排出量を抑制することが期待できます。

化粧品容器に「エコ」が取り入れられる背景

化粧品容器にエコが取り入れられる背景

消費者の環境意識の高まりと購買行動

消費者の間では「環境に配慮したブランド」を選ぶ傾向が高まっています。消費者庁が発表した『令和6年度消費者意識基本調査 調査結果の概要』では「環境に配慮した商品やサービスを選択する」と回答した消費者が 53.5%にのぼり、半数を超えています。

特に若年層やZ世代を中心に、容器やパッケージの素材選びが購入判断の一因となるケースも増えています。サステナビリティを重視する姿勢は、単なるトレンドではなく「ブランド選択の基準」として存在感を増しているといえます。

※Z世代とは1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代を指す。2025年現在では17歳~30歳前後にあたる。

出典:消費者庁『令和6年度消費者意識基本調査 調査結果の概要』/SHIBUYA109 lab.『Z世代のSDGsと消費に関する意識調査

化粧品業界に広がる「サステナブル容器」の潮流

海洋プラスチックやCO2排出などの課題を背景に、再生可能・リサイクル可能な素材の採用が各メーカーで広がりつつあります。

環境省の『バイオプラスチック導入ロードマップ』や『プラスチック資源循環に資する取組事例集』でも、化粧品容器を含む包装分野でのバイオマスプラスチックや再生PETの活用事例が紹介されています。

こうした行政方針の後押しもあり、サステナブル素材の導入は「環境対策」だけでなく、ブランド価値を高める取り組みとしても注目されています。

※海洋プラスチックとはプラスチックごみの一部が海に流出し海洋に蓄積されたもの。このプラスチックごみが海の生態系に悪影響を与えています。

出典:環境省『バイオプラスチック導入ロードマップ』『プラスチック資源循環に資する取組事例集』/経済産業省『プラスチック使用製品設計指針に基づく4製品分野における設計認定の基準を公表しました

持続可能な素材への関心が高まる中で注目される「バイオマスプラスチック」

消費者の意識変化と企業の取り組みが広がるなかで、持続可能な資源を活用できる素材への関心が一層高まっています。
とりわけ、植物由来の原料を活用しながら、従来のプラスチックとほぼ同等の成型性や品質を保てるバイオマスプラスチックは、素材の選択肢の一つとして注目されています。

再生可能資源を活かしたものづくりは、環境負荷の低減だけでなく、ブランドの社会的価値を高める手段の1つにもなりえます。

ここからは、バイオマスプラスチックの仕組みや特徴について、詳しく紹介します。

エコ素材の種類と違い

エコ素材の種類と違い環境配慮型パッケージの関心が高まるなか、化粧品容器に使われる「エコ素材」も多様化しています。一口にエコ素材といっても、原料や機能、リサイクル方法が異なり、それぞれにメリットと課題があります。

ここでは、代表的なエコ素材である「バイオマスプラスチック」「再生プラスチック」「生分解性プラスチック」の特徴と違いを紹介します。

バイオマスプラスチック

植物由来原料を使ったプラスチック。再生可能資源から作られる点が特徴で、CO2排出削減への貢献が期待されます。PET・PE・PLAなど種類も多くあります。

再生プラスチック

再生プラスチックとは、回収されたプラスチック全般を再生してつくられる素材の総称です。その中の代表的な例としてPCRプラスチック(Post Consumer Recycled)は、使用済みプラスチックを回収・再利用した素材です。

資源循環の観点から注目されており、企業のサステナビリティ施策の中で活用が広がっています。

生分解性プラスチック(PLAなど)

自然環境下で微生物の働きにより分解されるタイプのプラスチック。

代表的なものにPLA(ポリ乳酸)があります。環境面では優れていますが、耐熱性や耐薬品性は限定的です。

化粧品容器でエコ素材を選定する場合、材質や幅広い成型方法に対応できることからバイオマスプラスチック(PE・PET)が使用されることが多いです。

化粧品容器に適した素材の見極め方

化粧品容器の素材選定では、「環境配慮」だけでなく、ブランドの方向性や中身との相性、コストなどの実務的な要素も重要です。

エコ素材であっても、製品特性やブランドイメージに合わなければ、継続的な採用は難しくなります。

以下の観点を踏まえて、最適な素材を検討することがポイントです。

  • ブランドの方向性(サステナビリティ訴求か、高級感重視か)

  • 中身との相性

  • コスト・供給の安定性

これらを総合的に考慮して素材を選定することが大切です。

化粧品容器におけるバイオマスプラスチックのメリット・デメリット

バイオマスプラスチックは、環境配慮型の素材として注目される一方で、実際の導入にあたってはコストや成分適性などの課題もあります。

ここでは、バイオマスプラスチックを化粧品容器に使用する際の主なメリットとデメリットを紹介します。

区分

内容

メリット

  • 環境配慮のPR効果:再生可能資源を使用していることを訴求でき、ブランド価値向上につながることが期待できる。
  • CO2排出削減:前述の「カーボンニュートラル」の考え方によりライフサイクル全体で温室効果ガスの削減に貢献することが期待できる。

デメリット

  • コスト上昇のリスク:一般的に石油系プラスチックよりも原料コストは高くなる。
  • 中身との相性リスク:成分によっては膨潤や変質を起こす場合があり、事前検証が必要。

まとめ

この記事では、化粧品容器におけるバイオマスプラスチックについて以下を解説しました。

  • バイオマスプラスチックとは?

  • 化粧品業界でエコ素材が注目される背景

  • エコ素材の種類とそれぞれの特徴

  • バイオマスプラスチックのメリット・デメリット

バイオマスプラスチックは、再生可能な資源を活用しながら、従来プラスチックとほぼ同等の成型性や品質を保てる素材として注目されています。

一方で、コストや中身との相性といった課題もあり、採用にあたっては製品特性やブランド方針、供給体制を総合的に検討する必要があります。今後も法制度や市場動向を注視しながら、自社に適したアプローチを見極めていくことが重要です。

化粧品容器の素材やサステナブルなパッケージについて検討されている方は、ぜひ石堂硝子にご相談ください。

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