入稿とは?化粧品容器のデザインに必要な印刷用語「入稿・校正・校了」をわかりやすく解説

入稿とは?化粧品容器のデザインに必要な印刷用語「入稿・校正・校了」をわかりやすく解説

化粧品容器やパッケージの印刷デザインが完成する過程で、「入稿」「校正」「校了」といった印刷用語がよく使われます。

この記事では、初めてデザインデータのやりとりを行う方でも分かるように、入稿から校正・校了までの流れと確認ポイントをわかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.『入稿』『青焼き』などの印刷用語を整理しておきたい理由
  2. 2.「入稿」とは?基本の意味と流れ
    1. 2.1.一般的な入稿データ形式
    2. 2.2.入稿前に確認すべきポイント
  3. 3.「校正」とは?確認作業のステップ
    1. 3.1.校正=入稿データをもとに印刷イメージを確認すること
    2. 3.2.印刷物における校正の種類:デジタル校正/本紙校正
      1. 3.2.1.化粧品容器の場合の確認工程(試し刷り)について
    3. 3.3.校正(および試し刷り)でチェックすべき内容
  4. 4.「校了」とは?最終決定の意味
    1. 4.1.校了=「修正なし、印刷に進んでOK」の最終合意
    2. 4.2.校了後は修正不可 → 誤字脱字や法定表示のミスに注意
    3. 4.3.校了をスムーズに進めるための社内承認フロー例
  5. 5.入稿から校了までの流れ
    1. 5.1.入稿から印刷までの一般的な流れ
  6. 6.初めて担当する方が知っておくと安心なポイント
  7. 7.まとめ:用語理解がプロジェクト成功の第一歩

『入稿』『青焼き』などの印刷用語を整理しておきたい理由

化粧品業界は、個人のサロン経営者やアパレル、食品関連など異業種からの参入が活発な市場です。

OEMメーカーの存在により、自社で工場を持たなくてもブランドを立ち上げられるため近年ではD2Cブランドやインフルエンサーコスメも数多く登場しています。しかし、初めて容器やパッケージを作る際に多くの担当者が聞きなれないのが、「入稿」「校正」「校了」といった印刷特有の言葉です。

これらの意味と流れを理解しておくことで、制作会社や印刷会社とのやり取りがスムーズになり、納期遅延やデザイン違いなどのリスクを防ぐことができます。

※D2Cブランド:自社で企画・製造した商品をECなどを通じて中間業者を介さずに直接消費者に販売するブランドのこと。

「入稿」とは?基本の意味と流れ

「入稿」とは?基本の意味と流れ

入稿とは、完成したデザインデータを印刷会社に渡すことです。

化粧品容器やパッケージの場合、印刷会社は受け取ったデータをもとに版を作成し、印刷準備を進めます。

もしデータが不完全な状態で提出されると、印刷時に不具合が起きたり、納期が遅れる原因となるため、入稿前のデータ確認が非常に重要です。

一般的な入稿データ形式

入稿データは、主に Adobe Illustrator(.ai)形式で作成されます。

印刷会社によっては、確認しやすいようPDF形式を指定される場合もあります。会社ごとに指定フォーマットやカラーモード(CMYK/特色指定など)が異なるため、事前に入稿形式を確認することが重要です。

入稿前に確認すべきポイント

入稿前には、データが「完全データ」になっているかを確認します。これは印刷会社が修正を行わず、そのまま印刷に使える状態のデータを提出することを意味します。

※石堂硝子では、基本的に「完全データ入稿」での対応となります。

▼完全データ入稿の主なチェック項目

チェック項目

内容

文字のアウトライン化

フォントが別のPC環境(他環境)で置き換わらないよう、文字を図形化する

レイアウトのズレ確認

特にロゴはわずかなズレが目立つため注意する

データ形式の統一

aiまたはPDFなど、印刷会社指定の形式に統一する

カラーモードの設定

カラーモードの設定:カラーモードがCMYKに設定されているか(illustratorの場合)

画像リンクの確認

画像がリンク切れだと印刷時に抜けてしまうため、埋め込みまたはリンク画像も一緒に提出する
※当社の容器印刷では画像を含む入稿データはお受けしておりません

塗り足し・トンボ設定

裁断ズレに備え、3mm程度の塗り足しとトンボを設定する

※当社の容器印刷は立体物への直接印刷のため塗り足しやトンボの設定は不要です

※トンボ:印刷物を仕上がりサイズに断裁するための目印のこと

掲載している項目は一部の例となります。詳細な入稿条件は印刷会社や入稿対応を行う商社・代理店(当社含む)にご確認ください。

「校正」とは?確認作業のステップ

「校正」とは?確認作業のステップ

印刷前にデータの内容や位置、色味を確認する工程が「校正」です。校正をしっかり行うことで、誤字脱字・色味ズレ・法定表示漏れなどのトラブルを未然に防げます。

校正=入稿データをもとに印刷イメージを確認すること

校正とは、入稿したデータをもとに、印刷結果をシミュレーションした状態で確認する作業です。

印刷物における校正の種類:デジタル校正/本紙校正

校正には大きく2種類あります。

校正の種類

内容

デジタル校正

PDFやプリント出力で確認する方式。スピーディーでコストを抑えられる。

本紙校正

実際の用紙やインキで印刷した見本を確認する方式。最終仕上がりに近い確認が可能。

化粧品容器の場合の確認工程(試し刷り)について

紙印刷とは異なり、化粧品容器(ボトル・ジャー)などは立体物への印刷のため、「デジタル校正」や「本紙校正」と同じ分類になりません。

「校正」にあたる工程として、容器印刷には一般的に初期段階にデザインデータの確認を校正で行い、最終段階では実際の容器に「試し刷り」を行うことで色味や印刷位置など仕上がりを確認します。

校正(および試し刷り)でチェックすべき内容

校正では、デザインや文字の誤りだけでなく、色味や印刷位置、法定表示の有無など、仕上がり全体の品質に関わるポイントを確認します。

特に化粧品容器の場合、成分表示や使用上の注意などに誤記があると、再印刷や回収対応が必要になることもあるため、慎重なチェックが求められます。

以下に、校正時に必ず確認しておきたい主な項目をまとめます。

  • 誤字脱字・法定表示の漏れ

成分名や注意書きの誤りは法令上の問題につながる可能性があります。

  • 色味や印刷範囲

デジタル表示と実際の印刷では発色が異なるため、トーンや明度を確認します。指定の場所にデザインが印刷されているかチェックします。

  • ロゴサイズ・配置バランス

ブランドロゴや商品名の位置は、少しのズレで印象が変わります。

  • 注意書き・成分表などの可読性

小さすぎる文字やコントラスト不足は、文字がつぶれたり、デザインが正しく印刷されません。

校正は「印刷前の最終品質チェック」ともいえるため、複数人でのチェック体制を整えることが理想です。

「校了」とは?最終決定の意味

「校了」とは?最終決定の意味

校了は、印刷工程の中で最も重要な最終確認です。ここで「OK」を出すと、そのまま印刷工程に進行します。

校了=「修正なし、印刷に進んでOK」の最終合意

校了とは、最終的なデータ確認を終え、修正の必要がないことを承認することです。印刷会社は校了後に版を確定し、以降の修正は原則できません。

校了後は修正不可 → 誤字脱字や法定表示のミスに注意

校了後に誤字や成分表記ミスが見つかると、版の作り直しや再印刷が必要になる場合があります。そのため、社内チェックや複数人での確認することをおすすめします。

校了をスムーズに進めるための社内承認フロー例

校了は「最終確認」ではありますが、複数部署の承認が必要になる工程でもあります。

デザインだけでなく、品質・法務・ブランド部門などが関わるため、承認の流れが整理されていないと、確認漏れやスケジュール遅延につながることがあります。そのため、あらかじめ社内の承認ルートと役割分担を明確にしておくことが、校了をスムーズに進めるポイントです。

承認フローを整備しておくことで、校了段階の混乱や再確認作業を減らし、スムーズな進行ができます。

入稿から校了までの流れ

印刷の工程は、ただ「データを渡して印刷してもらう」だけではありません。入稿・校正・校了という確認ステップを順に踏むことで、トラブルを防ぎ、理想の仕上がりに近づけることができます。

ここでは、化粧品容器やパッケージ制作の一連の流れを、時系列で整理して紹介します。

入稿から印刷までの一般的な流れ

  1. デザインデータ作成
    商品名・ロゴ・法定表示などを含むデザインを作成。印刷範囲や仕様を確認します。

  2. 入稿(印刷会社へデータ送付)
    デザインデータを提出し、印刷会社が版の制作や印刷準備を開始します。

  3. 校正(データ内容確認)
    印刷イメージを確認し、誤字・色味・配置などをチェックします。

  4. 修正(指摘部分の反映)
    校正結果をもとに修正を行い、再確認を経て最終データを整えます。

  5. 校了・青焼き確認(最終確認・印刷へ進行)
    「この内容で印刷して問題なし」と承認を出す段階です。以後の修正は基本的に不可。

  6. 印刷・納品
    校了データをもとに印刷を実施。完成品を最終検品後、納品します。

入稿から校了までの流れを把握しておくと、印刷会社やデザイナーとのやり取りがスムーズになります。特に化粧品容器のように法定表示や色指定が多い製品では、工程ごとの確認を丁寧に行うことが品質維持の鍵となります。

初めて担当する方が知っておくと安心なポイント

初めて担当する方が知っておくと安心なポイント

初めて化粧品容器やパッケージの印刷を担当する際、デザインデータの細部設定や印刷仕様で迷いやすいケースが多く見られます。これらは一見小さなことに見えても、印刷後に大きなトラブルにつながることがあります。

ここでは、特に注意したい代表的なポイントを紹介します。

▼起こりやすい間違いと注意点

  • 文字のアウトライン化忘れ

フォントが別の環境で置き換わり、意図しない書体に変わるリスクがあります。

  • 特色(PANTONE・DICなど)の指定漏れ・間違い
  • 塗り足し設定不足による裁断ズレ(ラベルなど平面印刷の場合)

裁断工程でわずかなズレが生じるため、3mm程度の塗り足し設定が必要です。

  • PDF入稿時のカラーモード違い(RGBからCMYKに変換)

画面上の色(RGB)をそのまま印刷(CMYK)に変換すると、色味が沈むことがあります。印刷データはCMYKモードで保存する必要があります。

デザインデータの設定ミスは、印刷結果に直接影響します。特に「見た目は正しく見えても、印刷データとしては不備がある」ケースが多いため、入稿前にチェックリストを用意してダブルチェックする体制を整えておくと安心です。

まとめ:用語理解がプロジェクト成功の第一歩

この記事では、化粧品容器やパッケージ製造に関わる印刷用語について以下を解説しました。

  • 『入稿』『青焼き』などの印刷用語を整理しておきたい理由

  • 「入稿」とは?基本の意味と流れ

  • 「校正」とは?確認作業のステップ

  • 「校了」とは?最終決定の意味

  • 入稿から校了までの流れ

入稿・校正・校了は、印刷の品質と納期を左右する重要な工程です。これらの用語を正しく理解しておくことで、社内外の連携がスムーズになり、ブランドの世界観を正確に表現した容器づくりにつながるでしょう。

石堂硝子では、化粧品容器の印刷・製造をトータルでサポートしています。容器の印刷デザインや制作についてお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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