
化粧品容器に求められる役割とは? 規制とともに解説
※本記事は2025年1月14日時点の情報をもとに執筆しています。
店頭に並んでいる化粧品容器のすべては、専門機関によって定められた細かな規制をクリアしたものです。化粧品の販売にあたり、容器を製造するうえでは、このような規制をクリアすることはもちろん、利便性も兼ね備えた容器づくりが求められます。
本記事では、化粧品容器に求められる役割をはじめとして、クリアしなければならない規制を解説します。
化粧品容器に求められる役割
化粧品容器は、ただ単に内容物を保管するだけの入れ物ではありません。ユーザーが快適に化粧品を使用できるように、以下で紹介する3つの役割を担っています。
①内容物の保護
化粧品容器には、高品質な商品をユーザーに届けるために、内容物を保護する役割があります。
化粧品に使用される成分のなかには、酸素や湿気、光、衝撃などの影響で、品質が低下するものが存在します。そのため化粧品容器は、これらの外部的な要因から内容物を守り、使い終わるまで品質を一定に保てるものでなければなりません。
例えばチューブ容器では、中身が空気に触れないように、一度出した内容物の逆流を防ぐ工夫が施されているものがあります。こうした工夫をはじめ、化粧品容器は多種多様な内容物の、それぞれの性質に適した形状や機能、材質が選択されます。
②使いやすさ
ユーザーがストレスなく化粧品を使えるようにすることも、容器に求められる役割の一つです。
化粧品容器は、化粧品の使いやすさを左右するものです。例えば、ポンプタイプのヘッドを使用した容器であれば、片手でも簡単に内容物を取り出すことができます。ブラシと蓋が一体となったマスカラ容器は持ち運びに便利です。
このように、化粧品の用途や性質に合わせて容器を選ぶことで、利便性を向上させられます。
③販売機会の創出
販売機会を創出することも、化粧品容器の大切な役割です。
魅力的なデザインの容器は、店頭の陳列棚で目立つものですので、製品を手に取り、成分や効果などに目を通してもらえる可能性が高まります。
また、素敵なデザインの容器が洗面台やドレッサーに並んでいる様子を、ユーザーにイメージしてもらうことで、購買意欲を向上させることも期待できます。
化粧品容器の製造において守らなければならない規制
化粧品容器に関する規制は、“化粧品公正取引協議会”が制定する『化粧品の適正包装規則』によって定められています。以下では、化粧品に直接触れる容器である内装と、ダンボールや化粧箱などの外装の2つに分けて規制の概要を確認していきます。
参照元:化粧品公正取引協議会『化粧品の適正包装規則』
①内装に関する規制
内装にあたる部分に関しては、容器の容積に対し、内容量の割合が40%以上になるように製造することが化粧品公正取引協議会のガイドラインに定められています。ただし、あくまで化粧品業界内での自主規制のためであり、容器の容積に対し内容物の割合が40%未満の商品や容器も市場には存在するのが実情です。
またガイドラインでは、例外的な2点の状況のいずれかに該当するときは、30%以上であれば製造できると定められています。その一つが、プレス製法またはプレスアンドブロウ製法のガラス容器、および二重成型が必要なプラスチック容器であり、内容物の容量が40g以下の場合です。そしてもう一つが、容器の形態上やむを得ず厚みが生じてしまう場合です。
これらの場合、内容量が40%を下回っていても規制の適用は受けません。
ほかにも、特殊な形態にデザインされた容器、あるいは30g/ml以下の製品では、上記の規制は適用されません。
②外装に関する規制
ダンボールや化粧箱といった外装は、内装と外装のあいだに不要な空間が生じてはならないと定められています。ただし、容器を保護するために緩衝材を使用し、その包装過程ですき間が発生する分には、必要な限度において問題ありません。
また厚さは、ダンボールの場合で4mm以下、そのほかの材質であれば化粧品公正取引協議会で定められた基準に準拠する必要があります。
なお、コンパクトレフィルまたは眉目化粧料詰替などに該当するものは、上記の規制は適用されずに、過大包装削減の努力義務が課されています。
化粧品に関する規制
ここまで、化粧品容器の規制について解説しましたが、ルールがあるのは容器だけではありません。ここからは、化粧品そのものの規制をご紹介します。
①薬機法
『薬機法』とは、化粧品や医薬品などの、安全性および有効性を確保するために定められた法律です。
『薬機法』の化粧品に対する規制は大きく分けて2つあります。それは、医薬品や医薬部外品に間違われるような表現は避けること、肌の悩みを改善できると記載しないことの2つです。万が一違反してしまうと、行政指導を受けるか、もしくは罰金刑や懲役刑が科される可能性があります。
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化粧品における薬機法の内容とは? 記載可能な表現や表記ルールを解説
参照元:e-Gov法令検索『薬機法』
②景品表示法
化粧品の効果や品質を過大に表示することを禁止しているのが、『景品表示法』です。『景品表示法』では、サービスや商品を実態以上に良く見せてはならず、根拠にない“No.1”や“業界最高”などの表示が違反に該当します。
参照元:e-Gov法令検索『景品表示法』
③特定商取引法
『特定商取引法』では、訪問販売や通信販売、勧誘などを行うときのルールが定められています。例えば、事業者は勧誘を始める前に消費者に対して、事業者名と勧誘目的であるということを告げなければならないというルールがあります。
参照元:e-Gov法令検索『特定商取引法』
④化粧品の表示に関する公正競争規約
容器やパッケージに記載する内容について定めているのが、『化粧品の表示に関する公正競争規約』です。成分表示や使用上の注意などは、この規約に沿って記載しなければなりません。
化粧品のカテゴリーを示す“種類別名称”や、各都道府県の薬務課の承認を得た“販売名”をはじめとする、10項目のルールが存在します。
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参照元:化粧品公正取引協議会『化粧品の表示に関する公正競争規約』
まとめ
この記事では、化粧品容器に求められる役割や規制について解説しました。
- 化粧品容器に求められる役割
- 化粧品容器の製造において守らなければならない規制
- 化粧品に関する規制
化粧品容器には、内容物の保護や使いやすさ、販売機会の創出が求められます。また製造において守らなければならない、容器に関するルールも存在します。
このように化粧品容器は、役割や利便性を維持しながら、化粧品公正取引協議会で定められた規制もクリアする必要があるのです。
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