化粧品の表示に関するガイドラインの内容を解説


化粧品の表示に関するガイドラインの内容を解説

※こちらの記事は2024年7月10日時点の情報を元に執筆しています。

化粧品を製造・販売するうえで、表示に関するガイドラインは必ず守らなくてはなりません。化粧品に関する正確な情報が消費者に伝わらないと、後々重大なトラブルへと発展してしまうからです。

今回は、化粧品の表示や広告に関する基本的なガイドラインについて解説します。



化粧品の表示や広告における注意事項

化粧品を販売する際のパッケージや広告の内容については、ガイドラインや法律によって明確にルールが定められています。詳しくは後ほど解説しますが、”必ず表示すべき”とされている内容もあれば、反対に、規制されている表現も存在します。


化粧品は肌に直接塗布するものですから、成分に関する表示が抜けていたり、過剰な表現で消費者を煽ったりすると、重大な問題に発展しかねません。今回紹介するガイドラインは、そうした事態を回避するための重要な役割を担っています。


化粧品の表示におけるガイドラインの種類

化粧品を販売する際に守るべきガイドラインとしては、主に以下の2つが挙げられます。


▼化粧品の表示や広告に関するガイドライン

  • 化粧品の表示に関する公正競争規約
  • 化粧品等の適正広告ガイドライン

『化粧品の表示に関する公正競争規約』は、化粧品容器のパッケージに記載する内容についてのガイドラインです。対して『化粧品等の適正広告ガイドライン』は、名前の通り、広告で用いられる表現に関するルールを定めています。


どちらも、細かく内容が制定されているため「その内容は知らなかった」とあとから慌てないように、本記事の内容を参考に把握しておくことをおすすめします。



化粧品の表示に関する公正競争規約の規制内容

化粧品の表示に関する公正競争規約


化粧品の表示に関する公正競争規約は、昭和58年から”化粧品公正取引協議会”によって運用され始めました。消費者に対する不当な誘引を防止し、公正な競争を実現することを目的としています。すべての化粧品メーカーは、この内容に則って化粧品のパッケージをデザインしなくてはなりません。


同規約の第4条では、化粧品のパッケージに関して以下のように定められています。

事業者は、化粧品の直接の容器又は直接の被包(直接の容器又は直接の被包に表示された事項が、外部の容器又は外部の被包を透かして容易に見ることができない場合は、当該外部の容器又は外部の被包を含む。)に次に掲げる事項を化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則(以下「施行規則」という。)に定めるところにより、邦文で外部から見やすい場所に、明瞭に表示しなければならない。ただし、施行規則で特に定める場合においては、この限りでない。

引用元:化粧品公正取引協議会『化粧品の表示に関する公正競争規約

ここでは、この第4条で表示が必要な事項として定められた内容について解説いたします。


表示が必須とされる10項目

化粧品の表示ガイドライン

化粧品の表示に関する公正競争規約の第4条で「明瞭に表示しなければならない」とされているのが、以下に整理した10項目です。


▼明瞭な表示が必要とされる10項目

項目

内容

①種類別名称

  • 化粧品のカテゴリーを示す名称
  • ”洗顔料”や”化粧水”などが該当する
  • カッコで囲う、太字にするなどして目立たせる必要がある
  • 化粧品容器の1箇所のみではなく、外箱や添付する説明書などにも記載が求められる
  • 文字の大きさは7ポイント以上。ただし表示が困難な場合は4.5ポイント以上で、小型容器(30g・30ml以下)は規定なし

②販売名

  • 各都道府県の薬務課の承認を受けた、その製品の名称
  • 商品が陳列された状態でも、視認できる位置に記載されている必要がある
  • ローマ字のみや、特定の成分のみの販売名は不可
  • ほかの医薬品、医薬部外品と類似した名称、誤解を招く誇大な表現も許可されていない
  • ①と同じく、文字の大きさは7ポイント以上、あるいは表示が困難な場合は4.5ポイント以上。小型容器(30g・30ml以下)は規定なし

③製造販売業者の氏名又は名称及び住所

  • 製造販売業者の氏名(代表者名)あるいは会社名と、所在地を記す項目
  • OEMの場合は、製造販売元(OEMメーカー)の名称と所在地、発売元(販売を手掛けるメーカー)の名称、所在地、問い合わせ先を記載する

④内容量

  • 外箱や容器を除いた、内容物のみでの重量(g)または容量(mL)の値
  • 複数の梱包に分けられている場合は、個数や本数での表記も可能
  • 表記上の数値と実際の内容量の差は、-3%以内にしなければならない

⑤製造番号又は製造記号

  • 製造ロットとともよばれる、数字やアルファベットが組み合わさった文字列
  • その製品がいつ、どこで製造されたかを示す
  • 製品販売後トラブルが発生した場合、この番号を利用することで効率よく回収できる

⑥厚生労働大臣が定める化粧品については、その使用の期限

  • 製造または輸入後適切な保存条件のもと、3年間品質を維持できない場合に記載する
  • 防腐力の弱い製品、分解速度の速い成分が含有されている製品が該当する

⑦厚生労働大臣の指定する成分

 (全成分表示)

  • 製品に含まれる全成分の表示
  • 配合量の多い順に記載が求められるが、配合率が1%以下の成分は順不同で問題ない
  • エキスの抽出等で使用したごく少量しか含まれていない"キャリーオーバー成分"をはじめ、一部の成分は省略できる
  • 直接の容器または直接の被包に表示することが原則だが、容器や箱が小さい場合は外箱やディスプレイカードなどで表示することができる

⑧原産国名(原産地が一般に国名より地名で知られ、地名による表示が適切である場合は、原産地名。)

  • 内容物を製造した国の名称
  • ”日本製”や”MADE IN JAPAN”といったふうに、見た人が誰でも理解できる文言で表示する必要がある
  • 文字の大きさは7ポイント以上。表示が困難な場合は4.5ポイント以上で、小型容器(30g・30ml以下)は規定なし

⑨施行規則で定める化粧品については、その使用上又は保管上の注意

  • 使用時の予期できないトラブルやリスクを想定した注意事項
  • どんな成分や容器でも、肌に合わず身体に異常が現れるといったリスクが考えられるため、万が一に備えた注意喚起のために必要
  • 【ご注意】【ご使用上の注意】といった名目で表記されている

⑩問合せ先

  • ③で記載した内容に、電話番号を追加したもの
  • 問い合わせがあった場合に、可能な限り迅速に対応できる電話番号を記載する

項目の出典:化粧品公正取引協議会『化粧品の表示に関する公正競争規約



このように、どの項目も事細かに規約が定められています。すぐに把握するのは困難であるため、都度要件を確認することを推奨します。


その他の項目

『資源有効利用促進法』に基づいたリサイクル表示として、紙製容器包装やプラスチック製容器包装には材質も表示する必要があります。表示に際しては、以下のルールを守らなくてはなりません。


▼リサイクル表示に関するルール

  • 印刷やラベルの場合は上下6mm以上のサイズが必要(文字は6ポイント以上)
  • 刻印やエンボスの場合は上下8mm以上のサイズが必要(文字は8ポイント以上)
  • プラマークは”プラスチック容器包装リサイクル推進協議会”から入手する
  • 紙マークは”紙製容器包装リサイクル推進協議会”から入手する


なお、識別マークを表示できるだけのスペースがなければ、表示を省略することが可能です。また、複数の容器や包装からなる製品の場合は、そのうちの表示が可能ないずれかの容器・包装に、識別マークと役割名を併記することが求められます。



化粧品等の適正広告ガイドラインの規制内容

化粧品等の適正広告ガイドライン 表現可能な効能・効果は56種類

化粧品等の適正広告ガイドラインは、『医薬品医療機器等法』と『医薬品等適正広告基準』に基づき制定された、化粧品の広告に関するガイドラインです。


ベースとなった上記二つの法律・基準は、化粧品も含めた”医薬品等”に分類される製品すべてに適用されるものです。対して、化粧品等の適正広告ガイドラインは、内容が化粧品に特化しており、化粧品メーカーがより容易に利用できるようになっています。


化粧品広告で表現可能な効能・効果は56種類

化粧品等の適正広告ガイドラインでは、化粧品の広告に記載できる機能効果として、以下の56種類を挙げています。


▼化粧品広告で表現できる効能・効果

1.頭皮、毛髪を清浄にする

2.香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える

3.頭皮、毛髪をすこやかに保つ

4.毛髪にはり、こしを与える

5.頭皮、毛髪にうるおいを与える

6.頭皮、毛髪のうるおいを保つ

7.毛髪をしなやかにする

8.クシどおりをよくする

9.毛髪のつやを保つ

10.毛髪につやを与える

11.フケ、カユミがとれる

12.フケ、カユミを抑える

13.毛髪の水分、油分を補い保つ

14.裂毛、切毛、枝毛を防ぐ

15.髪型を整え、保持する

16.毛髪の帯電を防止する

17.(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする

18.(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)

19.肌を整える

20.肌のキメを整える

21.皮膚をすこやかに保つ

22.肌荒れを防ぐ

23.肌をひきしめる

24.皮膚にうるおいを与える

25.皮膚の水分、油分を補い保つ

26.皮膚の柔軟性を保つ

27.皮膚を保護する

28.皮膚の乾燥を防ぐ

29.肌を柔らげる

30.肌にはりを与える

31.肌にツヤを与える

32.肌を滑らかにする

33.ひげを剃りやすくする

34.ひげそり後の肌を整える

35.あせもを防ぐ(打粉)

36.日やけを防ぐ

37.日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ

38.芳香を与える

39.爪を保護する

40.爪をすこやかに保つ

41.爪にうるおいを与える

42.口唇の荒れを防ぐ

43.口唇のキメを整える

44.口唇にうるおいを与える

45.口唇をすこやかにする

46.口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ

47.口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ

48.口唇を滑らかにする

49.ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

50.歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

51.歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

52.口中を浄化する(歯みがき類)

53.口臭を防ぐ(歯みがき類)

54.歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

55.歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

56.乾燥による小ジワを目立たなくする

(注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
(注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
(注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
(注4)(56)については、日本香粧品学会の『化粧品機能評価ガイドライン』に基づく試験等を行い、その効果を確認した場合に限る。

出典:日本化粧品工業連合会『化粧品等の適正広告ガイドライン

上記に含まれていない効能・効果は、広告に記載することはできません。実際に効果を感じた方がいたとしても同様です。ただし、言い換えの範疇であれば別の表現を用いることが許可されています。


化粧品における表現のNG例

化粧品等の適正広告ガイドライン 化粧品における表現のNG例

最後に、化粧品等の適正広告ガイドライン、および医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触してしまう表現のNG例をご紹介します。


「テストにより人体への安全性は確認済みです」
「赤ちゃんにも安心して使えます」

このような、安全性を保証する表現は禁止されています。


安全性のみならず、効能・効果が確実であることを謡うような表現も記載できません。具体的には
「臨床実験にて90%以上の方の肌トラブルが改善されました」
のような表現が挙げられます。

これらにくわえて
「他社の化粧水よりも高い保湿効果が期待できます」
といった、他社製品の誹謗にあたる文言も用いることは不可能です。


違反したらどうなるのか

薬機法に違反してしまった場合、薬機法第85条第4号に基づき、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金のいずれか、または両方が科されます。また、事業者に対しては厚生労働大臣による課徴金納付命令も下されます。課徴金額は、違反していた期間における当該化粧品の売上の4.5%と、決して少なくありません。


今回紹介した以外にも禁止されている表現は数多く存在するため、意図せず違反してしまうおそれもあります。自社だけでの対応が困難な場合は、外部の専門家に確認を依頼するのも一案です。



まとめ

この記事では、化粧品の表示に関するガイドラインについて以下を解説しました。

  • 化粧品の表示や広告における注意事項
  • 化粧品の表示に関する公正競争規約の規制内容
  • 化粧品等の適正広告ガイドラインの規制内容

化粧品を販売する際は、今回解説した化粧品の表示に関する公正競争規約、および化粧品等の適正広告ガイドラインを遵守しなくてはなりません。いずれかに違反してしまった場合、大きな問題に発展する可能性もあります。

化粧品製造に関するガイドラインや法律は、内容も専門性が高く規制も厳しいため、対応は簡単ではないかもしれません。「ガイドラインに違反しないか心配……」という方は、専門家に相談してみることをおすすめします。

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