PPとPETは何が違う? それぞれの特徴や共通点を解説

PPとPETの違いとは?


PPとPETは、どちらも樹脂の一種であり、化粧品や薬品の保存容器として使われている点をはじめ共通点が多く、似たような素材に思えるかもしれません。しかしながら、詳細に特徴を比較していくと、両者のあいだには大きな差異があることが分かります。

今回は、PPとPETの違いや、それぞれの用途を解説していきます。



PPとPETの特徴

PPとPETはともに樹脂、つまりプラスチックの一種です。日常生活のさまざまな場面で用いられており、見かける機会も多いと思われます。


PPの特徴

PP(ポリプロピレン)とは?

PPとは”ポリプロピレン”の略称であり、そのことからも分かるように、プロピレンを原料として作られる樹脂です。表面に傷がつきにくいという特徴をもちながらも柔軟性は高いため、容易に加工することができます。また、耐薬品性にも優れており、酸性やアルカリ性の強い液体も保存が可能です。


PPは、単量体(モノマー)という小さい分子が共有結合によってつながった高分子で「ポリマー」ともよばれます。構成する原料の違いによって、ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーの3種類に分けられます。それぞれの特徴や、用いられている代表的な製品は以下の通りです。


▼PPの種類と代表的な製品

種類

特徴

代表的な製品

ホモポリマー

  • プロピレンのみで構成される
  • 剛性が高く、PPのなかでは耐熱性が高い
  • 粘着テープ
  • お菓子や野菜を梱包する延伸フィルム

ブロックコポリマー

  • ホモポリマーのなかに、EPRというゴムで覆われたポリエチレンの粉が含まれている
  • 耐衝撃性が強く、変形もしにくい
  • コンテナ
  • 自動車の部品

ランダムコポリマー

  • プロピレンとエチレンによって構成される
  • PPのなかでは透明性が高い
  • 注射器の本体
  • 洗剤のボトル容器


この通り、剛性や透明性、耐衝撃性の面で違いがあるため、適した用途を把握したうえで使い分けることが重要です。



PETの特徴

PET(ポリエチレンテレフタレート)とは?

対するPETは、”ポリエチレンテレフタレート”の略称であり、テレフタル酸とエチレングリコールの結合によってできる樹脂です。耐寒性、耐水性、電気絶縁性に優れており、多種多様な用途で利用できる汎用性の高さが強みです。また、透明度が非常に高いため、外から確認できる状態で内容物を保存したい場合にも適しています。


PETが用いられている代表的な製品としては、ペットボトルが挙げられます。



PPとPETの違いと共通点

PPとPETの違い

PPとPETそれぞれの特徴が理解できたところで、次は違いに着目していきます。両者を項目ごとに比較した結果を以下の表に整理しましたので、ご覧ください。


▼PPとPETの比較表

項目
PP
PET
硬度
比較的柔らかい
硬い
柔軟性
高い
低い
傷のつきにくさ
つきにくい
つきやすい
透明度
低い
高い
耐候性
やや低い(屋外で数ヶ月保管可能)
高い(屋外で約一年保管可能)
比重(g/cm3)
0.9~0.91
1.29~1.40
環境への影響
大きい
比較的小さい
コスト
低い
比較的高い


このように、PPとPETには多くの面で違いがあります。特に、硬度と傷のつきにくさの違いは、保存容器として利用するうえでは、非常に大きな差異であるといえます。


環境へ影響を及ぼす程度の差も、無視できない要素です。ポイ捨てが原因でPPが海に流れ着くと、PPは水より比重が軽く海に浮かんでしまうため、紫外線によって細かく分解され、その微小な欠片を魚が食べてしまいます。さらにその魚を人間が食べると、健康面で悪影響が出るおそれがあります。


一方で、PETは紫外線にも強いため、簡単に細分化されることがありません。製品に用いる素材としてPPとPETを検討する際は、こうした側面も考慮する必要があります。



PPとPETの共通点

違いばかりあるように思えるPPとPETですが、もちろん共通点も存在します。


PPとPETは、どちらも”熱可塑性(ねつかそせい)プラスチック”であり、熱をくわえると柔らかくなる点が共通しています。また、耐薬品性の高さも共通しており、化学薬品や化粧品の保存においては、同じような用途で使われることも少なくありません。


PPとPETの使い分けを考える際には、異なる部分だけではなく、共通点もきちんと理解しておくことが大切です。



PPとPETの用途

最後に、PPとPETそれぞれの主な用途を紹介します。


PPが利用されるケース

PPが利用されるケース

PPは、主に以下のケースにて利用されています。


▼PPの利用されるケース

  • ヒンジキャップ
  • ストロー
  • ジャー容器
  • 医療器具
  • 自動車の部品

PPは、その軽さや柔軟性を活かしたい場面で、利用されるケースが多くあります。折り曲げることでフタをするヒンジキャップには、柔軟性を備えているPPが最適です。ストローのような、とにかく軽さが求められるうえに、大量に生産する必要がある製品にも適しています。


ほかには、耐薬品性の高さから、注射器のような医療器具や、エンジンオイルの付着する可能性のある、自動車の部品にも用いられています。



PETが利用されるケース

PETが利用されるケース

対して、PETが利用されるケースは以下の通りです。


▼PETの利用されるケース

  • ペットボトル
  • 合成繊維
  • パーティション
  • 工業用フィルム
  • 食品容器

PETが利用されているものとして、やはりまずはペットボトルが挙げられます。コンビニやスーパー、自動販売機など、至るところで飲料の販売に使われているペットボトルは、現代社会においてなくてはならない製品です。


私たちの生活に近い、という観点では、合成繊維もPETの代表的な用途といえます。セーターやシャツなどに使われている合成繊維には、実はPETが素材として含まれており、衣類の耐久性や速乾性を高めるのに役立っています。


ほかにも、パーティションや工業用のフィルム、卵パックのような食品容器などにも使われており、PETの用途は多種多様です。



まとめ

この記事では、PPとPETについて以下を解説しました。

  • PPとPETの特徴
  • PPとPETの違い
  • PPとPETの共通点
  • PPとPETの用途

PPとPETには、柔軟性や比重、傷のつきにくさから、環境への影響に至るまで、多くの点で違いがあります。その差は用途の違いにもはっきりと表れているため、それぞれ適したケースで使うことが重要です。


石堂硝子では、樹脂を用いた、さまざまなバリエーションの化粧品容器の企画・開発を行っております。PPやPETを利用した化粧品容器を作成の際は、ぜひ石堂硝子までお問い合わせください。


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