PEとPETの違いや共通点とは? 見分ける方法も解説

PEとPETの違いとは?

樹脂、つまりプラスチックにはさまざまな種類がありますが、特に私たちの身近にあるものとしては、PEとPETが挙げられます。この二つは名前が似ているため、同じような素材に思えるかもしれません。しかし、実際には多くの点で違いがあり、使われ方も異なります。
そこで今回は、PEとPETの違いや共通点、そして見分け方を解説していきます。


PEとPETの特徴

ともに石油から作られる合成樹脂であるPEとPETは、日常生活の至るところで使われている点では共通しています。しかし、その特徴には大きな違いがあるため、混同しないように注意したいところです。


PEの特徴

PE(ポリエチレン)とは?

”ポリエチレン(polyethylene)”の略称であるPEは、その名の通りエチレンを原料とする世界でもっとも生産量が多いプラスチックです。耐水性や耐薬品性、耐油性、電気絶縁性などの優れた耐性を有しながらも、炭素と水素だけの単純な構造でできているため軽量で容易に加工できる、非常に便利な素材です。PEの使われている代表的な製品としては、ポリ袋や食品の保存容器、灯油タンクやシャンプーボトルなどが挙げられます。


一般的に、PEは密度の違いによって分けられます。それぞれの特徴を以下に整理しました。

▼PEの特徴

種類
特徴

低密度ポリエチレン(LDPE)

  • 密度910〜929kg/m3のポリエチレン
  • 柔らかくて伸縮性に優れる

高密度ポリエチレン(HDPE)

  • 密度942kg/m3以上のポリエチレン
  • 低密度ポリエチレンより強度が高く耐熱性も高いが、伸縮性は低い


このように、ポリエチレンは密度が異なると、その性質も大きく変わります。PEを製品の素材として採用する際は、これらの違いも把握しておくことが大切です。


PETの特徴

PET(ポリエチレンテレフタレート)とは?

テレフタル酸とエチレングリコールを、高温・高真空下で化学反応させて作られるのが、PETです。本来の名称は”ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)”であり、その英語表記の頭文字をとって”PET”とよばれています。


PETは耐寒性、耐水性、電気絶縁性が高いうえに、強度も優れていることから、多種多様な用途で使われています。また、ほかのプラスチックと比較して炭素があまり使われておらず、石油依存度の低い、環境に優しい素材であるのも特徴です。


代表的な用途としては、PETの名を冠しているペットボトルが真っ先に挙げられます。



PEとPETの違いと共通点

PEとPETには、どのような違い、あるいは共通点があるのでしょうか。以下に、項目ごとに比較した結果を整理しました。


▼PEとPETの比較結果

項目
PE
PET
硬度
柔らかい
硬い
柔軟性
高い
低い
燃焼性
よく燃える
燃えにくい
耐候性
低い
比較的高い
耐寒性
高い
高い
電気絶縁性
高い
高い
耐薬品性
高い
高い
透明度
低い
高い
比重(g/cm3)
0.92~0.97
1.29~1.40


まず目につくのは、硬度と柔軟性の違いです。柔軟に形を変えて使いたいならPE、硬さを求めるならPET、と使い分けるのが最適です。ほかには、耐候性や透明度、比重にも差異があります。

一方で両者には共通点も多く、耐寒性、電気絶縁性、耐薬品性はどちらも高いことがわかります。同じような用途で使える可能性もあるため、違いと共通点どちらも把握したうえで、適宜使い分けることが重要です。



PEとPETの見分け方

PEとPETの見分け方

先の比較結果をもとに、ここではPEとPETを見分ける3つの方法を解説します。


①透明度で判別する

PEとPETは、まず透明度で判別することができます。乳白色で半透明なものはPE、反対に無色透明であるものはPETです。


ただし、製品によっては着色されていて、見た目だけでは判別が難しい場合もあるため、その際は後述する方法を試してみるのも一案です。


②水に沈むかどうかで判別する

両者は比重が異なるため、水に沈むかどうかでも判別可能です。比重が1g/cm3未満のPEは軽いため水に浮かびますが、ほかのプラスチックに比べて炭素より重い酸素が多いPETは、比重が1g/cm3以上のため沈みます。


しかし、PETであってもペットボトルのような中が空洞の製品は、空気の力で水に浮いてしまうため、その点は留意しておいてください。


③燃え方で判別する

燃え方の違いで、PEとPETを判別するのも一つの手です。


PEは燃えやすく、火を近づけるとすぐに熱で柔らかくなり、その後ろうそくのように、溶けた部分を滴らせながら燃焼を続けます。対してPETは、PEよりは燃えにくく、糸を引くようなかたちで溶けていき、火元から離せば自然に火が消えていきます。



PEとPETの用途

PEとPETの特徴や違いが理解できたところで、最後にそれぞれの代表的な用途を見ていきましょう。


PEが利用されるケース

PEが利用されるケース

PEが利用されるケースとしては、以下が挙げられます。

▼PEの利用されるケース

  • 業務用パーマ剤の容器
  • シャンプーボトル
  • ボトルの中栓
  • 電線被覆
  • 食品用ラップ

PEは、加工性と耐薬品性の高さから、パーマ剤やシャンプーなどの容器によく使われています。また、そうしたボトル容器の中栓に用いられているのも特徴的です。ほかには、電線被覆や食品ラップなど、柔軟性が求められる製品で用いられる傾向にあります。


PETが利用されるケース

PETが利用されるケース

対して、PETは主に以下のケースで利用されています。

▼PETの利用されるケース

  • ペットボトル
  • 化粧品容器
  • 食品容器
  • リサイクル製品

PETが用いられている代表的な製品として、ペットボトルは外せません。耐水性の高さから液体が漏れ出る心配もなく、透明性が高いので内容物を容易に確認できるのも利点です。それ以外にも、強度の高さから各種化粧品の容器や、食品容器にも使われています。また、リサイクル製品の原料として使われることが多いのも、PETならではの特徴です。



まとめ

この記事では、PEとPETについて以下を解説しました。

  • PEのPETの特徴
  • PEとPETの違いと共通点
  • PEとPETの見分け方
  • PEとPETの用途

硬度や柔軟性、耐候性などさまざまな違いのあるPEとPETは、それゆえに容易に判別することが可能です。ただし、一部の耐性に関しては共通しているため、ケースバイケースで使い道を考えるのが理想的だといえます。


まもなく創業100年を迎える石堂硝子には、化粧品容器を作成しつづけてきた歴史と、培ってきたノウハウがあります。「化粧品容器を作りたいけど、PEとPETのどちらを採用すべきか……」そのようなお悩みがあれば、ぜひ石堂硝子までお問い合わせください。


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