化粧品における薬機法の内容とは? 記載可能な表現や表記ルールを解説
本記事は2024年9月6日時点での情報をもとに執筆しております。
化粧品は肌や髪に直接使用するものなので、その効果や安全性について、消費者に誤認させてしまうようなことがあってはなりません。それゆえに、化粧品を製造する際には、必ず薬機法を遵守する必要があります。
今回は、化粧品を製造・販売する際に遵守すべき薬機法について、具体的な内容を解説します。
薬機法とは
そもそも、薬機法とはどのような法律なのでしょうか。
薬機法とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器などの、有効性および安全性の確保に関わる法律です。消費者が商品を購入する際に「凄い効果があるんだ」「安全性が高いらしい」と事実とは異なる認識をもち、不利益を被らないようにすることを目的としています。
有効性や安全性の誤認を防ぐために薬機法で実施されているのが、商品パッケージや広告の内容に関する規制です。近年は、いわゆる”誇大広告”が問題として取り上げられることも多くなり、以前にも増してこの規制の重要性が高まっています。
なお、”薬機法”という名前から、適用されるのは医薬品だけに思えるかもしれませんが、冒頭にも記した通り化粧品も対象とされています。そのため化粧品を販売する際は、薬機法に抵触していないかどうかを必ずチェックしなくてはなりません。
薬機法に違反した場合の罰則
薬機法に違反してしまうと、さまざまな罰則が科されます。
まず起こりえるのが、行政指導による違反内容の是正です。薬機法に抵触した商品のパッケージや広告を、改善するように求められます。社会的な影響度が高い場合は、対象商品の販売停止や自主回収、さらには罰金刑や懲役刑まで科されるケースもあります。また、2018年から施行された制度により、逮捕には至らずとも課徴金が徴収されるようにもなりました。
このように薬機法に違反すると、社会的な信用を失うのみならず、事後対応に追われ、費用面でも多大なる負担がのしかかることとなります。自社だけで薬機法に対応するのが不安な場合は、OEMメーカーや専門機関に相談するのが最善です。
薬機法以外のルール
化粧品を販売するにあたって守らなくてはいけないルール・法律には、以下に挙げるものも該当します。
▼化粧品販売に際して守るべきルール・法律
名称 |
概要 |
景品表示法 |
|
特定商取引法 |
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化粧品の表示に関する公正競争規約 |
|
薬機法とあわせて、これらへの対応も必要です。
なお、『化粧品の表示に関する公正競争規約』については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
薬機法にて定められる化粧品の定義
実は薬機法では、以下のように化粧品の定義が定められています。
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。
引用元:e-GOV『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』
この定義に該当するものはすべて化粧品とみなされ、薬機法への対応が求められます。実際に該当する例を以下に整理したため、参考としてください。
▼化粧品の定義に該当する商品例
- ボディソープやシャンプー
- ファンデーション
- リップスティック
- ヘアカラー剤
- 保湿クリーム
一般的に化粧品と考えられる商品は、基本的に該当していることが分かります。「今回の商品は化粧品には該当しないだろう」と自己判断せず、必ず定義に則って判断することが大切です。
化粧品に載せてもよい効果や効能
ここからは、薬機法の具体的な内容を解説していきます。
薬機法では、化粧品のパッケージや広告に用いてよいとされている効果・効能が、以下の通り6つの区分で明確に記されています。
▼化粧品に記載可能な効果・効能
分類 |
内容 |
頭皮・毛髪について |
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皮膚について |
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香りについて |
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爪について |
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唇について |
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オーラルケアについて |
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(注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
(注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
(注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
(注4)「乾燥による小ジワを目立たなくする。」については、日本香粧品学会の『化粧品機能評価ガイドライン』に基づく試験等を行い、その効果を確認した場合に限る。
この表に記載された56種類の表現であれば、広告や宣伝で使用しても問題ありません。また、もとの意味さえ伝わるのであれば、ある程度表現を変えることは可能です。販売する化粧品の特徴に合わせて、うまく活用していきたいところです。
なお、これらの内容は今後更新される可能性があるため、化粧品を販売する際に都度最新の情報を確認することを推奨します。
出典:日本化粧品工業連合会『化粧品等の適正広告ガイドライン』
薬機法における化粧品関連の表記ルール
薬機法には、先述した56種類の効果・効能以外にも厳格に決められた表記ルールが存在します。
薬機法における成分表示の規定
化粧品に含まれている成分は、原則としてすべて容器や化粧品箱に記載することが義務づけられています。ただし厚生労働省の許可を受ければ、表示したくない成分を”その他”としてまとめることが可能です。抽出物や香料といったキャリーオーバー成分も、表示する必要がありません。キャリーオーバー成分とは、原料に含まれる成分のうち、製品に持ち越されて残存するが、製品中ではその効果が発揮されない量しか含まれない成分のことです。
このほかにも、成分の表示名を統一する、アレルギー成分は必ず表示するなどのルールがあります。
なお、特定の成分のみを目立たせるような表示は、基本的に許可されていません。あたかもその成分が有効である、あるいはそれが主成分であると消費者に誤認させてしまうためです。このような特記表示を行いたい場合は、配合目的を明記する、化粧品としての効能の範疇を超えた表現を避ける、といった対応が必要です。
薬機法にて禁止されている表現
記載可能な内容だけではなく、明確に禁止されている表現についても把握しておかなくてはなりません。
薬機法の基準を示した『医薬品等適正広告基準』、ならびに薬機法をもとに定められた『化粧品等の適正広告ガイドライン』では、9つの分類で禁止すべき表現を取り決めています。それぞれの分類に該当する具体例を、以下に整理しました。
▼薬機法にて禁止されている表現
分類 |
禁止されている表現・内容の例 |
事実と異なる製造方法を思わせる表現 |
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成分に関して、有効性や安全性の観点で、消費者が誤認しうるような表現 |
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人体への効能や安全性が確かであると思わせるような表現 |
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医療関係者や美容系の関係者が推薦しているかのような表現 |
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消費者の体験談 |
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他社の商品を誹謗するような表現 |
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不安や恐怖を煽るような表現 |
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データや消費者の体験談などは、一見すると問題ないように思えるかもしれませんが、消費者に誤解を招くおそれがある以上は厳しく制限しなくてはなりません。「この程度の表現なら問題ないだろう」と勝手に判断するのも禁物です。
繰り返しにはなりますが化粧品を販売する際は、これらのルールに抵触しないよう必ず入念な確認を実施してください。
また、化粧品に載せてもよい効果や効能と同じく、こちらも常に最新情報を確認しておく必要があります。漏れなく対応することをお望みであれば、専門機関にチェックを依頼するのが確実です。
まとめ
この記事では、化粧品における薬機法について以下を解説しました。
- 薬機法とは
- 薬機法にて定められる化粧品の定義
- 化粧品に載せてもよい効果や効能
- 薬機法における化粧品関連の表記ルール
化粧品のパッケージや広告の内容は、薬機法によって厳格に定められています。違反が発覚した場合は重いペナルティが科されるため、化粧品の販売に際しては、薬機法の観点で徹底的にチェックする必要があります。自社だけでの対応が難しい場合、製造を依頼するOEMメーカーに相談してみるのがおすすめです。
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