
ジェンダーレスコスメの広がりと化粧品容器の変化|色・形状・デザインの傾向
近年、化粧品市場では「ジェンダーレスコスメ」や「ユニセックスコスメ」と呼ばれる商品が見られるようになっています。従来のように「女性向け」「男性向け」と明確に分けるのではなく、性別にとらわれず使える化粧品という考え方が広がっています。
その背景には、化粧品の選び方そのものの変化があります。性別ではなく、肌質やライフスタイルに合わせて選ぶという考え方や、メイクやスキンケアを自分らしさとして取り入れる価値観が広がっています。こうした流れの中で、男女共通で使えるブランドや商品も展開されています。
このような変化は、ブランドコンセプトだけでなく、容器デザインにも影響を与えています。従来のメンズコスメではブラックやメタリックを基調としたデザインが多く見られましたが、近年はジェンダーレスなカラーやシンプルな形状を採用する商品も見られます。
本記事では、ジェンダーレスコスメという考え方の広がりとともに、化粧品容器の色や形状、デザインがどのように変化しているのかについて解説します。
目次[非表示]
なぜ化粧品はジェンダーレス化が進んでいるのか
ジェンダーレスコスメの広がり
ジェンダーレスコスメの広がりの背景には、美容に対する捉え方の変化があります。従来は性別ごとに用途や目的が分けられるのが一般的でしたが、現在は個人の状態やライフスタイルに合わせて選ぶ傾向が見られます。
その要因の一つが、男性のスキンケア需要の拡大です。レアリ・ド・ジュレリッチ「男性のスキンケア事情に関する調査」によると調査対象者のうち、約6割がスキンケアに興味があると回答しています。
出典:レアリ・ド・ジュレリッチ「男性のスキンケア事情に関する調査」(2024)
洗顔や保湿といった基本的なケアに加え、肌状態を整えるために複数のアイテムを使い分けるケースも見られます。また、メイクを取り入れる人も増えており、美容に対する意識が多様化しています。
出典:レアリ・ド・ジュレリッチ「男性のスキンケア事情に関する調査」(2024)
さらに、美容の目的にも変化が見られます。外見を整えるためだけでなく、自分が快適に過ごすためのケアとして取り入れる考え方も広がっています。このような変化により、性別に基づいた区分よりも、使用感や目的を基準とした商品選択が行われる場面が増えています。
こうした背景から、特定の性別を前提としないブランド設計や商品展開が見られるようになっています。
ジェンダーレスコスメに見られる容器カラーの変化

メンズコスメに多いカラー
従来のメンズコスメでは、特定のイメージを表現するために、比較的特徴のある色が採用されるケースが多く見られました。
ブラック
ネイビー
メタリックカラー

これらのカラーは、落ち着きや力強さといった印象を表現するデザインとして用いられることがあります。また、光沢のある仕上げや金属調の質感と組み合わせることで、シャープな印象を強調するデザインも見られます。
このような配色は、男性向けブランドとしてイメージしやすく、店頭やEC上でも識別しやすく、ターゲットを想起しやすいデザインとして機能してきました。
一方で、こうした色の使い方は特定のイメージに寄りやすいため、幅広い層に向けた設計とは方向性が異なる場合もあります。そのため、ターゲットの設定によっては別のカラー選定が検討されることもあります。
中間色やニュートラルカラー
ジェンダーレスコスメでは、特定の性別を想起させにくいカラーが採用されるケースも見られます。いわゆる中間色やニュートラルカラーと呼ばれる色です。
グレー
ベージュ
ホワイト

こうしたカラーは、強い印象を与えすぎず、幅広い層に受け入れられやすい特徴があります。また、他のアイテムや空間との調和を取りやすい点も特徴の一つです。
さらに、マット仕上げや落ち着いた質感と組み合わせることで、過度な主張を抑えたデザインになります。視覚的な情報を整理しやすく、ブランドコンセプトをシンプルに伝える表現として用いられることもあります。
このようなカラー設計は、性別ではなく使うシーンを意識したものです。容器カラーは単なる装飾ではなく、ターゲットやブランドの方向性を表す要素の一つとして捉えられます。
形状やデザインの傾向
シンプルで直線的なフォルム
ジェンダーレスコスメの容器では、形状そのものにも変化が見られます。装飾を抑えたシンプルなフォルムや、直線的なデザインが採用されるケースが見られます。
装飾を抑えたミニマルな形状
直線を基調としたフォルム
凹凸を減らした設計
こうした形状は、特定のイメージに寄りにくい特徴があります。性別による印象を強める装飾を避けることで、幅広い層に受け入れられやすいデザインにつながります。
また、シンプルな形状はブランドロゴやカラーを引き立てる役割もあります。要素を絞ることで、デザイン全体のバランスが取りやすくなり、ブランドコンセプトも伝わりやすくなります。
さらに、直線的な形状は手に持ったときの安定感や、整った印象にもつながります。見た目の印象だけでなく、使用時の感覚にも関わる要素の一つです。
ロゴや加飾の表現
ジェンダーレスコスメでは、ロゴや加飾の表現にも変化が見られます。過度な装飾を避け、シンプルな構成でデザインされるケースも見られます。
ブランドロゴを小さく配置する
単色で表現する
余白を活かしたレイアウト
こうした表現は、視覚的な主張を抑えながら、ブランドの印象を伝える方法の一つです。装飾を減らすことで、幅広い層に受け入れられやすいデザインにつながると考えられます。
また、ロゴやデザインの見え方は、印刷方法や加工によっても変わります。化粧品容器では、用途や素材に応じてさまざまな加飾方法が使われています。
例えば、シルク印刷は安定した発色が特徴で、単色ロゴをくっきりと表現しやすい方法です。一方で、インクジェット印刷はグラデーションや細かな表現に対応しやすく、デザインの幅が広がります。
このように、加飾方法によってロゴの印象や質感が変わるため、容器デザイン全体の見え方にも影響します。ジェンダーレスなデザインを考える際には、形状だけでなく、ロゴや加飾の表現まで含めて検討することが大切です。
“男性向け”と“ジェンダーレス”な容器の違い

男性向けデザインの特徴
男性向けコスメの容器は、これまで一定のデザイン傾向が見られてきました。例えば、視覚的に分かりやすい「男性らしさ」を表現するため、下記の要素が取り入れられることがあります。
ブラックやネイビーなどの濃色
メタリック調の質感
力強いフォント表現
直線的で重厚感のある形状
こうした要素は、シンプルさの中にも存在感を持たせるデザインとして用いられることがあります。とくに色や質感は、大きく影響します。
また、重厚感のあるデザインは、機能性や信頼感といった印象にもつながります。こうした表現がブランドイメージの一部として扱われることもあります。
一方で、こうしたデザインは「男性向け」というイメージを明確に伝える反面、使用する人の幅を限定的に見せる可能性もあります。そのため、ターゲットに応じた表現のバランスが重要です。
ジェンダーレスデザインの特徴
ジェンダーレスコスメの容器では、特定の性別を想起させにくいデザイン傾向が見られます。幅広い層に受け入れられやすいように、下記の要素が取り入れられることがあります。
グレーやベージュなどのニュートラルカラー
シンプルで小さめのロゴ配置
装飾を抑えたミニマルな構成
直線と曲線をバランスよく取り入れた形状
こうしたデザインは、使う人の属性ではなく、製品そのものの機能やブランドの世界観を中心に表現される傾向があります。視覚的な主張を抑えることで、空間やライフスタイルにもなじみやすくなります。
また、ジェンダーレスデザインは「無機質」ではなく、「誰でも使いやすい印象」を意識している点も特徴です。色や形状を過度に限定しないことで、利用シーンの広がりが期待できます。
このように、男性向けデザインとジェンダーレスデザインは、優劣ではなく目的やターゲットによって使い分けられています。どのようなブランド体験を提供したいかによって、容器の方向性も変わっていきます。
まとめ
この記事では、ジェンダーレスコスメの広がりとともに見られる、化粧品容器の変化について解説しました。
なぜ化粧品はジェンダーレス化が進んでいるのか
ジェンダーレスコスメに見られる容器カラーの変化
形状やデザインの傾向
“男性向け”と“ジェンダーレス”な容器の違い
近年は、性別による区分だけでなく、ライフスタイルや価値観に合わせた商品設計が見られるようになっています。それに伴い、容器デザインも従来のイメージにとらわれない表現が取り入れられるケースが増えています。
色や形状、加飾の選び方は、ブランドの方向性やターゲット設計と密接に関係します。容器は単なる外装ではなく、ブランドの意図を伝える要素の一つとして扱われる場面もあります。
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