化粧品容器に適した材質とは? 形状についても解説

化粧品容器に適した材質や種類とは

自社で化粧品を販売する際、その容器に用いる材質や、容器の形状についても入念に検討を重ねる必要があります。なぜなら、材質や形状の違いは、化粧品の品質や使い勝手にも影響を与えるからです。

そこで本記事では、化粧品容器に適した材質や、形状について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.化粧品容器の役割
    1. 1.1.①化粧品を保護する
    2. 1.2.②利便性を高める
    3. 1.3.③デザイン性を高める
  2. 2.化粧品容器の材質の種類
    1. 2.1.①樹脂(プラスチック)
    2. 2.2.②バイオマスプラスチック
    3. 2.3.③ガラス
    4. 2.4.④金属
  3. 3.化粧品容器の形状
  4. 4.まとめ


化粧品容器の役割

化粧品容器の役割とは

そもそも化粧品容器には、どのような役割があるのでしょうか。化粧品容器のもつ主な3つの役割を、以下に整理しました。


①化粧品を保護する

中に入っている内容物を保護することは、化粧品容器の大事な役割の一つです。

化粧品がメーカーで製造されてから、消費者の手元に届くまで、さらにはそれから消費者が化粧品を使いきるまでの期間は、長期にわたります。その間に化粧品が適切に保管されていないと、可視光線や紫外線、湿気などの影響を受けて劣化してしまいます。そうした外的要因から化粧品を守り、品質を保つのが、化粧品容器のもつ重要な役割です。


②利便性を高める

中身を保護するだけではなく、日々消費者が使用する際の利便性を高めるのも、化粧品容器の役割です。容器の持ちやすさやフタの開けやすさは、化粧品容器の形状によって左右されます。また、使いたい量を適切に出せるかどうかも重要なポイントです。

消費者の満足度を向上させ、商品をリピートしてもらうためには、利便性の高い化粧品容器を作成することが求められます。


③デザイン性を高める

魅力的なデザインの化粧品容器は、化粧品の価値を一層高めることができます。

化粧品の効能は、パッケージの情報を見ただけで感じられるものではありません。だからこそ、まずはデザインで選んでもらうことが販促においては重要となります。「毎日使う化粧品にはユニークさや美しさを求めたい」と思う消費者も多いでしょう。

化粧品容器のデザインにこだわることは、より多くの消費者に商品を手に取ってもらうためにも必要な試みであるといえます。



化粧品容器の材質の種類

化粧品容器 材質の種類

化粧品容器の役割が把握できたところで、次は材質の種類を解説していきます。化粧品容器の材質には、主に以下の4つが用いられています。


①樹脂(プラスチック)

加工性に優れる樹脂は、生産しやすく、軽いため使う際にも負担にならないのが利点です。そのため、主に持ち運べるタイプの商品に用いられています。また、十分な耐久性もあり、落としたり何かにぶつけたりしても、簡単に割れることはありません。

樹脂のなかにも、PEやPP、PETと種類がいくつかあり、それぞれ異なった特徴をもちます。PEは軽くて柔軟性があるのに対して、PPは丈夫で傷がつきにくいのが強みです。PETは、耐薬品性・耐油性の高さから、ペットボトルに代表されるような、食品や液体の保存容器として使われています。

また容器の付属品では透明度が高く、耐熱性・耐薬品性に優れたAS(SAN)や、耐衝撃性や表面加工性(印刷・塗装・蒸着)に優れたABS(AS樹脂にゴム成分(ブタジエン)を加えたもの)も使われています。


樹脂の種類
樹脂の特徴
PET
  • 透明度が高く、光沢がある
  • 耐衝撃性に優れている
  • ガスバリア性が良く、耐薬品性も良好
PE
  • 軽くて軟らかい
  • 耐薬品性・溶剤性に優れほとんど吸水しない
  • 透明性は低いので半透明
PP
  • 外観と化学特性はPEに似ている(軽い・耐薬品性・耐水性)
  • PEより硬質で耐熱性が強い(原型温度90~100℃)
  • 繰り返し折り曲げによく耐える(ヒンジ特性)
AS(SAN)
  • 透明度が高い
  • 耐熱性・耐薬品性に優れている
  • 硬質で強靭力に優れるが粘りがない
ABS
  • ASにゴム成分(ブタジエン)を加えたもの
  • 耐衝撃性に優れ粘り強い
  • 表面加飾性(印刷・塗装・HS・蒸着)が良好
EVOH(エバール)
  • プラスチックの中で最大のガスバリア特性
  • 保香性や耐油性に優れている
  • 印刷特性に優れているため前処理が要らない


②バイオマスプラスチック

近年は、植物由来の有機資源から作られた、バイオマスプラスチックも化粧品容器の材質として利用されています。

通常、プラスチックは焼却処分時にCO2が排出されます。しかしバイオマスプラスチックは、原料とした有機資源が、成長する過程で大気中からCO2を吸収しているため、結果的にCO2排出量を削減することが可能です。

環境保全を会社の指針として掲げるのであれば、検討すべき材質であるといえます。

 

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③ガラス

硬度と厚みに優れるガラスは、外部からの影響をほとんど受けつけないため、化粧品の品質を極力高く維持したい場合に適しています。また、容器そのものを変質させてしまうほど強い薬品にも、ガラスの保存容器が使われています。透明性が高く高級感もあるため、商品のデザイン性を高められるのも利点です。

ただし、樹脂よりは重いうえに割れやすいため、持ち運ばない商品に用いることをおすすめします。

ガラスの種類
ガラスの原料・特徴
ソーダ石灰ガラス
(一般的なガラス瓶)

珪砂

石を細かく砕いたもの

ソーダ灰

無水炭酸ナトリウム
(草木を燃やして出る灰の不純物を取り除いたもの)

石灰

炭酸カルシウムを含む鉱石
(グラウンドラインを引くときや花の肥料等に使用)

カレット

ガラス瓶を破砕して原料として使用

ほう珪酸ガラス
(硬質ガラス)
一般的なガラスよりホウ酸の含有率が高いガラス。

耐熱性に優れ、フラスコなど実験容器に使用。

化粧品容器では、スポイド(管ビン)使われる。


④金属

化粧品容器の材質として、金属が採用されるケースもあります。主に用いられるのは、軟らかく加工しやすいアルミニウムで、口紅容器のようなコンパクトな化粧品容器に使われています。なお、錆びやすい金属を使う場合は、メッキやコーティングによって耐腐食性を上げる必要があるため、留意しておくとよいでしょう。



化粧品容器の形状

化粧品容器の形状と特徴

化粧品容器を作成する際は、材質だけでなく、形状も考慮する必要があります。以下に化粧品容器に用いられる形状11種と、その特徴を整理したのでご覧ください。


▼化粧品容器の形状と特徴

種類
特徴
ボトル容器
  • 円柱型や四角柱型で全体的に細長く、口の部分も狭くなっている
  • 自立するうえに少ないスペースに並べられるのが利点
  • 化粧水や乳液などの液状の化粧品の容器に用いられる
チューブ容器
  • 柔軟性があり、簡単に内容物を適量押し出せる
  • 軽量でコンパクトなものが多く、持ち運びやすい
  • 粘度が高いクリーム系の化粧品の容器に適している
クリームジャー容器
  • 口が広く、内容物を簡単に取り出せる
  • クリームやジェルのような粘度の高い化粧品の容器に用いられる
  • 衛生面を保つために、内容物を取り出すための、スパチュラとよばれるヘラを付属させる場合が多い
ポンプ容器
  • PEやPETでできた容器のヘッド部分に、ポンプがついている
  • ポンプをプッシュすることで簡単に内容物を取り出せるのが利点
  • ポンプの吐出量が決まっているため、必要な量を一定に取り出すことができる
  • シャンプー容器から美容液の容器まで、幅広く利用されている
エアレス容器
  • 内部に空気が入らない構造になっている
  • 内容物を真空状態で保管できるため、酸化するリスクが高い化粧品の保管に最適
  • 内容物が押し上げられる仕組みのため、粘度の高いクリーム系に適している
塗布つき容器
  • 細長い形状で、ブラシや筆が容器に付属している
  • マスカラやまつ毛美容液などで採用されるケースが多い
エアゾール容器
  • ガスの圧力によって、内容物を霧状、泡状に噴射する容器
  • 内容物と噴射剤が充填された缶に、噴射装置がついている
  • ヘアスプレーや日焼け止めなどに使われている
コンパクト容器
  • 開閉式のフタがついた小型の容器
  • 化粧品を塗布するためのスポンジやブラシがついている場合もある
  • パウダーファンデーションやアイシャドウなど、粉状の化粧品の保存容器として用いられる
繰り出し容器
  • 容器を回転させることで簡単に内容物を出すことができる
  • 持ち運びが容易
  • 代表的なものとしては、口紅やリップクリームが挙げられる
スポイド容器
  • 内容物を摘出できるスポイドのついた容器
  • 粘性の低い美容液やオイルを、一滴ずつ取り出して利用できる
  • 特徴的なデザインで、見る人に高級感のある印象を与えることも可能
多層容器
  • 複数の樹脂が組み合わさり形成される容器
  • 耐薬品性の高い樹脂、酸化を抑えやすい樹脂などを重ねて層を形成することで、内容物の品質をより効果的に維持できる
  • 代表的なものとしてはUVケア商品などが挙げられる


このように、化粧品容器はその形状によって、まったく異なる特徴をもちます。化粧品容器を選定する際は、事前に用途をきちんと考えたうえで、用いる形状を選ぶことが大切です。



まとめ

この記事では、化粧品容器について以下を解説しました。


  • 化粧品容器の役割
  • 化粧品容器の材質の種類
  • 化粧品容器の形状


化粧品容器は、その材質や形状によって利用に適したケースが変わります。そのため、化粧品容器を選定する際は、どのような目的でその容器を利用するかを整理したうえで、最適な材質や形状を選ぶことをおすすめします。

さまざまな種類の化粧品容器を取り扱っている石堂硝子なら、お客さまのご要望にぴったりの化粧品容器を提案することが可能です。化粧品のコンセプトに合った最適な化粧品容器を作成する際は、ぜひ石堂硝子までお問い合わせください。

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