化粧品GMPはなんのためにある? その内容や認証を取得するメリットを解説
本記事は2024年9月6日時点での情報をもとに執筆しております。
消費者からの信頼を獲得し、化粧品メーカーとしての躍進を果たすためにも、製品の品質には常に意識を向けておきたいところです。しかし、指標やガイドラインが何もない状態では、品質の維持もままなりません。
そこで重要となるのが、化粧品GMPです。
今回は、化粧品GMPの概要やその目的、そしてメリットを解説します。
化粧品GMPとは
GMP(Good Manufacturing Practice)とは、製品の品質を管理する際の基準の一つです。誰が作業しても同じように高品質な製品を製造できる、画一的な手順を整備することを目標としています。
この基準を化粧品にも適用したのが化粧品GMPです。高品質かつ安全な化粧品を製造するための手順がまとめられた、ある種の”ルールブック”だと考えて差し支えありません。
なお化粧品GMPは、国際的には”ISO22716”という規格として知られています。日本においては、2008年に日本化粧品工業会が自主基準として採用したのをきっかけに、化粧品GMPという業界スタンダードとして認知され始めました。
化粧品GMPが策定された背景
化粧品GMPが必要とされる背景には、多くの化粧品会社が直面している、製品の自主回収問題があります。
本来化粧品は、厳格に管理された高品質のものが流通していなくてはなりません。しかし実態としては、トラブルやクレームに起因する化粧品の自主回収が、毎年発生しています。こうした製品の自主回収には多大な手間とコストがかかるうえに、消費者からの信頼も失ってしまいます。
このような状況を改善するには、化粧品の製造過程にて生じるミスを減らし、製品の品質を高めるほかありません。そこで必要とされたのが、化粧品GMPというわけです。
化粧品GMPを構成する項目
化粧品GMPに準拠するにあたっては、次の17項目に対応しなくてはなりません。
▼化粧品GMPを構成する17個の項目
- 適用範囲
- 用語および定義
- 従業員
- 構造設備
- 機器
- 原材料および包装材料
- 生産
- 最終製品
- 品質管理試験室
- 規格外品の処理
- 廃棄物
- 委託
- 逸脱
- 苦情及び回収
- 変更管理
- 内部監査
- 文書化
これらの項目一つひとつの基準をクリアすることが、高品質な化粧品の製造につながります。
化粧品GMPの3原則
化粧品GMPには、先に解説した17項目のベースとなる3つの原則が存在します。各原則をハード面・ソフト面でどのように実現するべきか、以下の表に整理しました。
▼化粧品GMPの3原則とその実現方法の例
化粧品GMPの3原則 |
ハード面での実現方法 |
ソフト面での実現方法 |
ヒューマンエラーを最小限にする |
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異物による汚染や品質の低下を防ぐ |
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品質を保証するシステムを設計する |
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これらのうちもっとも重視されているのが、ヒューマンエラーの最小限化です。上記のほかに、作業実態の記録や、間仕切りの設置による作業効率の向上なども実施して、人的なミスが発生しないように努める必要があります。
また、自社だけでの対応に不安が残る場合は、化粧品GMPに精通した専門機関に確認を依頼することをおすすめします。
化粧品GMPの認証を取得するメリット
化粧品GMPについては、外部の認証機関から「この組織は化粧品GMPの基準を満たしている」と認証を受けられます。この認証を取得すると、主に以下の4つのメリットを享受できます。
①会社の信頼性が向上する
化粧品GMPの認証を取得することは、会社の信頼性の向上につながります。
「弊社は化粧品GMPに準拠しています」と自社でアピールしても、それが本当であるかは外部から判断できません。しかし、然るべき機関からの認証を得られれば、自社の製品が高品質であることの客観的な証明が可能です。消費者や取引先からの信頼を得るうえでは、非常に効果的な手段だといえます。
②製品を自主回収する機会が減る
製品の自主回収が少なくなるのも、重要なメリットの一つです。
先述した通り、製品の自主回収が発生すると化粧品メーカーは多大なコストを支払うことになるうえに、消費者からの信頼も失ってしまいます。しかし化粧品GMPの認証を取得する、すなわちその規格への適合が叶えば、製品の品質が向上し自主回収の発生するリスクを減らせます。
③海外進出の際のハードルが低くなる
海外進出を検討するうえでも、化粧品GMPの認証の取得は有利にはたらきます。
化粧品GMPは国際的な規格(ISO22716)であり、アメリカやEU諸国をはじめとする多数の国でも品質基準として採用されています。つまり化粧品GMPに適合した製品は、仕様変更せずにそのまま海外へ流通させられるということです。
化粧品分野での海外進出を視野に入れているのであれば、化粧品GMPの取得は必須といっても過言ではありません。
④製造プロセスの効率化が叶う
製造プロセスの効率を向上させたい場合にも、化粧品GMPの認証取得がおすすめです。
化粧品GMPでは、製品の管理だけではなく、製造プロセスや管理体制そのものの再整備も求められます。これを実施する過程で、自然と無駄な作業や業務が見直されるため、結果的に製造プロセスの効率化も叶います。
「化粧品を製造する際の無駄を省きたい……」とお考えなら、ぜひ化粧品GMPの認証取得を検討してみてください。
化粧品GMPの認証を取得するまでの流れ
化粧品GMPの認証を取得するためには、以下の流れに沿って対応を進める必要があります。
▼化粧品GMPの認証を取得する流れ
- 現状確認とスケジュール決定
- 化粧品GMPの規格理解のための研修
- 化粧品GMPで要求される事項と現状のギャップ分析
- マニュアル・手順書などの文書作成
- 運用と社員教育
- 内部監査
- 内部監査を受けての是正処置
- 外部機関からの審査対応
- 認定
上記のなかでも特に重要となるのが、ギャップ分析と文書作成です。3〜4ヶ月という長い期間をかけて、十分な分析とマニュアル・手順書の作成を行います。また、実際に認定を受けるまでには、1年〜1年半ほどかかるものと想定しておいてください。
また、化粧品GMPの内容には今後変更が加えられる可能性もあります。そのため認証の取得を検討する際は、まず最新情報を確認してください。
なお、化粧品GMPの認証を受けられる機関は複数存在します。機関によって審査の形式が異なる場合があるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
まとめ
この記事では、化粧品GMPについて以下を解説しました。
- 化粧品GMPとは
- 化粧品GMPの3原則
- 化粧品GMPの認証を取得するメリット
- 化粧品GMPの認証を取得するまでの流れ
化粧品GMPは、高品質かつ安全な化粧品を製造するためのルールであり、その認証を取得することでさまざまな恩恵を得られます。消費者からの信頼を獲得しつつ、製造プロセスの効率化も実現したいのであれば、化粧品GMPの認証を取得することをおすすめします。
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